封印されしもの。

お風呂からあがってから、ほかほかを夜の風にあてる。
適当なt-シャツと無印の寝巻きのズボンを履いた。

適当に取り出したt-シャツはすごく派手な柄で
10年前に母親がUNIQLOで買ってきたもの。
これを着て香港に旅行に行った記憶がある。

旅行は半分ツアーガイドが着いてくれるツアーで、
金沢県からきている親娘と僕たちの2組で各地をまわった。
その金沢親娘のお母さんが
「そのt-シャツおしゃれですね」といってくださった。

母親はそれを聞いてどんな顔をしていたんだろう。
当時もちろん思春期の僕は、ばつのわるい顔をしていたにちがいない。
B−Boyみたいなオーバーサイズのt-シャツを身にまとわされた僕は、
狭いバスの片隅の異邦の地で、居場所をなくすことになった。

これがまあ、いいことかわるいことなのか、
トラウマからB−Boyにはなるまいと、そのT-シャツを封印した。
そしていにしえのときを、悠久のときを超えて、いま、
当時、愛されなかったおかげで、10歳をむかえている。

これが今更着てみると意外にしっくりくる。
それほど日焼けもないし、いい感じじゃないかとおもう。
なんかいい。
というより、深夜のこのいい感じのかぜが、
おおよそなんでもしっくり、させてしまうんだろうなあ。
気づいたぞ。。


今日もよんでいただいてありがとうございます。

ちょうどいい日というなら、すこぶるすくない。
ちょうどいい今なら、ただ忘れるほどあるだろうから。